振り返り、入籍せずに子供を育てることは出来たのか?

入籍と子育て

「結婚しなくてもいい」と思っていた私が、なぜ入籍し、母親になったのか。

そして振り返った今、入籍せずに子供を育てることは本当にできたのか。
この問いに対する私の答えは、「YES」だ。

ただし条件がある。
——両親が同居していること。そして、夫が平日に役所へ行ける時間を取れること。

子供の病気や入院、公的な手続き、保育園・学校の入園・入学。
日本では、非婚の両親が一緒に子供を育てる想定の制度が整っていない。
だからこそ、入籍していないと親権や手続きの場面で、不便や壁に直面することが多い。

たとえば、保険証の名義、入院時の手続き、教育関連の書類。
私の場合は旧姓でクレジットカードを使っていたため、中学受験や塾の支払いでも旧姓で通した。
説明すれば理解してもらえたし、今はいろいろな家族の形があるから問題にならなかった。

母と子の戸籍が別でも、日常生活には支障がなかった。
だから、「別姓のまま子育て」は、実は可能だったと思う。

ただ——。

戸籍上、夫婦でないことで不便なのは“万が一の時”

自分や子供に何かあった時、夫には“家族”としての決定権がない。
そのときは兄弟や親族を呼ばなければならない。
元気に暮らしている間は支障はないけれど、「もしも」の時にはその壁が現実になる。

私は子供の戸籍を整えるために入籍し、その後は何も変わらない生活をしてきた。
でも、出産後に「離婚して元の姓に戻ってもいい」と言っていた夫が、入籍したとたん態度を翻した。

「戸籍が汚れるから離婚はしたくない」と言われた。
私は裏切られたと思った。

こいつ、自分に自信がなくて、結婚できると思っていなかったくせに、私と結婚できたことで安心して“釣った魚は離さない”態度になったんだと、怒りが込み上げた。

私は心に決めている。
——夫が死んだら、死後離婚する。
くだらない男の戸籍に自分が入り続けるなんてごめんだ。

もしも自分の命の終わりが見えたら、その前にこっそり離婚するつもりでいる。
そして、遺産も形式上すべて子供に渡るようにする。あの人には何も残さない。
お墓も作らない。自然葬か海に還す。

私は経済的に自立していた。だから本来、夫なんて必要なかった。

ただ一つ、子供のことを考えると話は別だ。

自分の感情を抜きにして冷静に考えれば——
子供が中学生になるくらいまでは、両親が揃っていた方が子供にとって安心できる環境を作りやすい。関連▸育児で夫婦関係が壊れる?出産後に感じたギャップ

特に食事や生活リズムを安定させるには、二人で協力するほうがずっと効率が良い。
そう思ったから、私は夫との生活を続けた。

悔しいけれど、夫は子供にとっては“良い父親”だった。

小学校入学前の3〜4年間、夫は朝の1時間を使って子供に勉強を教えていた。
50音の練習、家族の名前を書く練習、読み聞かせや本の読み方も。
楽しそうに学びの習慣を作ってくれていた。

中学受験の頃、子供がこう言った。
「勉強嫌いな自分が頑張れたのは、小さい頃にパパと一緒に勉強してたから。」
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それを聞いた時、私は思った。
あの人を子供の父親に選んだことは、間違いではなかった。

でも——
私は夫を愛せなかった。
夫は、私の気持ちを踏みにじった。
あの時の罵倒の言葉は、今でも許せない。
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夫は私の女性としての尊厳を傷つけた。
私はもう、女性として誰かに愛されるという道を夫に奪われた。

——好きな子供とは暮らしたい。
でも、夫はしょせん他人。
必要がなくなったら離れたい。
なのに、婚姻制度はそれを簡単には許してくれない。

婚姻制度は、女を男の付属物として扱う。
そして、一度入ったら簡単に抜け出せない。
いらなくなった夫を、捨てられない——そんな制度だ。

だから私は、子供には結婚を強制しない。
結婚したくなければしなくていい。
子供が欲しくないなら、持たなくていい。
——自分の人生を、自分で決めて生きていけばいい。

私は自分の人生を選んだ。
後悔はしていない。
でも、「制度」が私から自由を奪ったことだけは、忘れない。

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